2020.03.15 Sunday

( When we have shuffled off ) This mortal coil

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    有名になりたかった。

     

    それなりの地位を得て、人々の承認を得て。

     

    なぜそうだったのだろう、と考えていた。

     

    有名になって、大きな組織を作ったりすれば、もっと多くの人に有用な知識を分け与えられる。そのためだろうか。それは違う。知識はこの世界そのものに既に書かれている。私達は必要に応じて、必要な分だけをそこから取り出す。必要な時に、必要なだけ与えられる。それは世界に任せれば良い。私のすべきことではなかった。

     

    それでも人間の文化を押し上げたり、その役には立てるかもしれない・・・馬鹿馬鹿しい話だ。人間というこの同族どもだけを、いたずらに宇宙にのさばらせるための、必然性のある理由は見つからない。

     

    苦しんでいる人、自分のように苦しんで追いやられた人たちを救えるかもしれない。それもまた詭弁だ。軽率な援助が反面で人の思いを歪ませ、その押し出された分でまた別の問題が持ち上がる。苦しむ人は常におり、それを克服するものも、克服せずに死んでいくものもいる。またそれらの苦しみを、ほとんど知らずに生きる人々もいる。それもまた世界の采配による。

     

    なら、なぜだったのだろう・・・と考えて、結局こういうことを思った。

     

    私はただ、安寧が欲しかったのだ。このひとつの生命の、自分という存在の、永遠に守られるであろうという確証を。

     

    地位や、名声や、収入の大きさによって、私は私のこの存在を、より確かで永続的なものにできると思ったのだろう。

     

    考えてみれば、他愛ない話だ。

     

    それは無邪気な、少年少女の空想だ。

     

    小さな、温かい命の、切なる願いだ。

     

    そんなに悪いものでは、なかったのかもな。

     

     

     

     

     

     

    JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

    2020.03.15 Sunday

    宇津流霊

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      生に縋りつく生者たちの神は、すでに死んでしまったものや、これから死にいくもののことを良しとはしない。当たり前のことではあるが。

       

      だが夜空に張り付いた絵画の中の花火が、本物のそれよりも遥かに感動に乏しいことを思えば、この神が偽りであることをすぐにも理解できよう。

       

      死と、夜と、混沌とが無ければ、

       

      昼の日差しも、温かい生の温もりも、整然と磨かれた秩序の美しさも、

       

      全ては無味無臭の土くれに過ぎない。

       

      死んでいったものや、弱いもの低いものであっても、その全ては素晴らしい。生きているもの、強いもの、高いものであっても、それは価値において変わらない。

       

      存在するということは、即ち変化するということだ。真に変化のない存在があるとすれば、それを私達は無と呼ぶだろう。

       

      変化と存在は同一だ。死と生が、夜と昼が、秩序と混沌がそれぞれ不可分にお互いを支えているように。

       

      その全てから織り出された、この今が、美しい。

       

       

       

      JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

      2020.03.01 Sunday

      死の準備のための瞑想

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        以下は、私達が『死』という事象に向き合う上で、心の苦痛を和らげたり、その事象を精神的に超克したりする為の、瞑想の指導文言を書き記したもの。

         

        五段階の章立てになっているので、個人で利用される場合は、各章の終わりに目を開けて文章を読んでも良いと思う。

         

        レクリエーションで使用される方がおれば、私はこの件についてなんら権利的なものは主張しないので、自由に使われて良い。

         

        尚、この観念誘導瞑想は、思想背景的には『流転の神(私が何となく古神道風に”うつるひ”と呼んでいるもの)』の概念に沿ったものであり、仏教やキリスト教、ヒンドゥー教の思想と無関係では無いが、それよりもむしろ現代の自由思想に親和性を持つものであることを事前に示しておく。

         

         


         

         

        『死の準備のための瞑想』

         

         

        (はじめに、色、音、感触、匂い、味、言葉の六つの感覚を、ひとつずつ順番に観察する瞑想を行う。十分に心が落ち着いたところで、以降の観想をはじめていく)

         

         

        あるひとつの石の上に、無数の蝶が止まって、ゆっくりと羽根を羽ばたかせている。石はあなたの魂の器。蝶はそこに満たされた、六種類の感覚。色、音、感触、匂い、味、言葉。今冷たい霧が地の底から昇ってきて、蝶たちは一羽ずつ、石から飛び立ち、その場を離れていく。

        (呼吸をする度に)一羽、また一羽。

         

         

        やがて全ての蝶が飛び立ち、その場にはただひとつの石だけが残る。この石は「私」という幻想。あなたの魂を繋ぎ止め、閉じ込めている檻。霧はいよいよ冷たさを増し、凍り付いた空気が石の内側へと滑り込んで、石はヒビ割れ、砕け、ゴロゴロと音を立てて崩れていく。
        (呼吸をする度に)だんだんと細かく、細かく。

         

         

        石はすっかり砂に変わり、最早全ての形は消え失せる。霧は取り付く対象を失い、ぼやけて、拡散し、静かにいなくなる。すると温かい軽やかな風が吹き、地面に撒かれた砂たちを乗せて、遙か遠くまで旅をする。これはあなたの輪廻。
        (呼吸をする度に)もっと遠く、もっと遠くへ。

         

         

        旅はまだ続くが、あなたの視界は今、蝶と石の場所へ戻る。もう何もない。しかしその場所は、今このときも遥か遠くの世界を見聞きしている蝶と砂とによって、全く完全に、温かく満たされている。これがあなたの答え。これがあなたの達成。
        (呼吸をする度に)満たされていることがわかる。ただ満たされていることを感じる。

         

         

        ふと気付くと、何羽かの蝶が時折、この場所へ戻ってきては、住処として愛したあの石を探していることに気付く。降り立つ石を見つけられない彼らは、しばらくすると諦めて去って行き、それでもまた時々、思い出すように戻ってくる。あなたはその蝶を見守り、感謝し、望むことも拒むこともなしに、ただ伝える。「一緒に居てくれてありがとう。一緒に生きてくれて、ありがとう。」
        これがあなたの本性。これがあなたの、神との繋がり。
        (呼吸をする度に)感謝の念を伝える。「今までありがとう。今までありがとう。」

         

         

         


         

         

         

         

        JUGEMテーマ:死生学

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