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2019.03.11 Monday

異常回復

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    精神疾患からの回復の一パターンとして、ユングは「個性化」という概念を提示している。

     

    彼は最初の内、患者が医者の予想を超えたやり方で環境に適応していく様子を見て、その現象に「過大成長」という名前を付けた。

     

    つまりそれは単に精神状態の回復の余波、反動のようなものなのだと彼には思われたのだ。

     

    しかし後になって彼はこの考えを取り消し、患者が「意識の新しい水準」へ進むことで、問題のより根本的な克服を実現したのだということを了承するに至った。

     

    人間の精神は、我々が考えるよりも遥かに高い柔軟さと、隠された無数の能力を内に秘めている。

     

    個性化によってその能力のいくつかが独特の形で組み合わさり、発揮されて、その人の精神を新しい段階へと導いていく。

     

    個性を完成すること。その意識の水準。

     

    個性とは、自らの心の内からひとりでに湧き出てくるもの、ではない。

     

    それは、与えられた素材を通して形作られるものだ。完成された個性は、その人の来歴や生育環境、人生経験、過去の人間関係などを色濃く内包する。内包すると言うよりも、それら経験によって、個性は作られている。

     

    だから、人は過去を捨て去る努力をするよりも、過去を受け入れ、その祝福と呪いの延長線上に、自らの存在を”改めて”(与えられた因習によってではなく、自らの思う新たな形で)表現しなければならない。

     

    こうした『超越と回復』にまつわる考え方を、私は思想上に根深く受け継いでいる。

     

    幾人かの人々、縁あって出会うことのできたいくらかの人々が、私の前で確かに、そうした個性化の偉大な経過を示してくれた。

     

    想像を超える能力の開花、予想だにしなかった環境への適応。そういうものを目の当たりにして、その人々が新たな水準の意識存在として進んでいく背中を眺めること・・・そのこと以上に、この世界に生きたことを楽しいと思える瞬間はない。

     

    根本の所を言えば、個性化とか、現象の名前などどうでも良いのだ。私は、人間の精神の中に隠された偉大な力の輝きを見ていたい。人という生き物の可能性を信じて、そこに希望を抱いて死んでいくことさえできれば、自分は満足だ。

     

    人間は強く、美しい生き物だ。それは身体だけではなく、その内に宿っている何ものかについても、同じように。私にとって人生とは、そんな人々に出会い、その人々の側で生きるための、物語なのだ。

     

     

     

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