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2019.06.09 Sunday

超実存とトランスパーソナル 

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    さて、境界と基底との同化が進んでいく過程とは、どのようなものだろうか。

     

    まず、人間の”自己”を規定する要素は、境界の生成初期にはまだより多く基底の側に残されている。(この意味で幼児の精神は受動的であり、大した主体性を持たない)

     

    境界が成長し、曖昧で拡散した宇宙空間に”中心”という感覚が実感されると、その感覚を元に意識世界がある一点(これはあくまで仮想の座標ではあるのだが)を目指し集約し始める。

     

    無数の隕石が宇宙空間のある特定の座標を目指していっせいに飛来し、その場所で衝突しあっているような様子だと思えば良い。やがてその無数の隕石がぶつかり合ってできた巨大な塊は、惑星となって、今度は自らの引力によって、周囲の空間の物質をどんどん取り込み始めるだろう。

     

    こうして自我前駆体に十分な経験や実感が蓄積されていくと、境界の”中心”という概念、つまり”自己”の概念が創発され、私たちの意識の主体性は大幅に強化されていくのである。(尚ここでは、精神の発達が非定型であるとか、精神の個別の特徴により、自己形成が正常にできない場合については除外して述べる)

     

    この段階では、精神活動の大半がこの”自己”という中心地点を考慮して行われる。それを拡大したり、強化したり、満たして豊かにしたりすることが境界全体を通じた明確な活動目標となる。

     

    だが皮肉なことに、”自己”という境界の中心地点を強化するための経験や知識を積めば積むほど、境界は基底からより多くの”現実”を取り込んでしまうために、その同化レベルが高まってしまう。

     

    すると段々、”自己”という概念そのものが、基底からより多くのものを得ようとする境界の活動を阻害し始めるようになる。

     

    簡単に言えば、人間一人ひとりに備わる自己中心性、言わば”わがまま”が、『この私一人だけを特別視してくれない』現実の公平性に干渉して、現実世界からの情報の取り込みを邪魔するのである。

     

    ”自己”という境界中心のコンセプトを守る為に、基底からの情報取り込みが阻害され始めると、パーソナリティは誇大的な色彩を帯びてくる。それは場合によってはナルシスティックで攻撃的な性格を形成したり、また場合によっては魔術的な歪んだ万能感を秘めた性格を形づくったりもする。

     

    一般にこのような、ややモラトリアムな境界と基底との葛藤の段階は、人間の精神史の青年期から壮年期までの、ほとんど全ての期間を通じて続くものである。

     

     

     

    JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

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