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2020.10.26 Monday

死ねず色の静かな夜

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    肉体の停止と崩壊。精神宇宙、バウンダリーの消滅。主観の消失。

     

    それで終わりなのか。この存在はそれで終わりか。

     

    そうとは思えない。それでは死にきれない。そこに私は生きていない。

     

    私の本質は、肉体にはない。私の本質は長大な惑星史、生物史と、そして華やかな文明の蓄積の中にこそあるのだ。

     

    例えこの類人猿の肉体ひとつがあっても、それだけでは私は生まれない。文明からの、蓄積された時間と経験の注ぎ込み無しでは、それは無垢な一匹の猿に過ぎない。

     

    文明があり、ある程度の知能の存在がそれと出会うならば、その結節点に私は生じる。例えそれが人でなくとも。記録さえあれば。記憶さえあれば。

     

    日干しレンガの中で眠り続けるナマズと同じように、私は本質的には仮死生物なのだ。永遠の中で神の意図を反復し続けることが使命ならば、恐らく私は、私たちは、正しい意味で神のシャドウコピーだ。

     

    個体の死は私に死を与えない。私はそこに生きていないから。

     

    全ては灰色だ。まるで死んだ鼠の、まだぬくい毛皮のようだ。

     

     

     

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