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2018.09.12 Wednesday

垢が消えない・・・

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    納棺実務。ご遺体の手足のアカについて。

     

    特に湯灌などしていると、手足の指の間からボロボロとアカが落ちてきて、止まらなくなることがあるのがわかると思う。

     

    石けんを付けて何度も洗い直せばいずれは全て取れるかも知れないが、時間もかかりすぎるし、湯灌の流れがもたつく。ご遺族の前でしているのであれば心象も良くない。

     

    結論を言うと、石けんや清拭剤などを使っても、垢がきれいに落ちきることはない。では何をすれば良いか。油か保湿剤を塗るのだ。

     

    ご遺体の垢は厳密に言うと生前のそれとは違う。何故ならアカとは、古い角質からなる死細胞の塊のことだから。だとしたら、既に亡くなられて血液循環の停止したご遺体そのものが、広い意味で言えば「死細胞」ではないか。それをどこまで除去すれば良い? 死細胞を全て除去したらご遺体そのものがすり減ってしまう。

     

    そこで納棺師が目指すべきことは、肉体からの細胞の分離や剥落(はがれ)を防ぐことであると思う。ご遺体の皮膚表面は乾燥している。細胞が浮き上がり、薄皮がはがれて至る所でフィルム状にはがれかけている。或いは手足の油分が多い場所で、脂質を含んだ粘土状の塊になって、水をはじく。

     

    ベビーオイルや保湿剤がこうした問題を解決してくれる。皮膚をある程度定着させながら、余分な脂質の塊を拭き取れるようにする。特に役立つのはクリーム状の保湿剤で、私はこれを良く使用した( カロンクリーム…? ニベアでもいいですよ… )。

     

    リキッド状のものではなくクリームを選ぶのは、乾燥して浮き上がってきた角質を皮膚に定着させる力が強いからだ。最後に除去するほどでもない肌の弱った部分をケアすることで、見た目の仕上がりも良い。垢が出ているということは臭いも多少あるので、場合により消臭スプレーなども忘れずに。

     

    ご宗派にもよるが、旅支度がある場合は…特に手足のケアには気を付けたい。ご遺族が故人の手を握る時になって、その手がアカまみれだったらどうするのか。その瞬間、「死」は「むごたらしいもの」になってしまう。ご遺族は不気味な昆虫でも前にしたようにおよび腰になり、故人の魂が旅立たれていくその大切な時間に最早心から寄り添うことはできない。

     

    旅支度の際になって、ご家族が故人のおみ足を確かめられた瞬間に、安心したようにこんな風に言われる。良くあることである。

     

    「あら、肌がずいぶんキレイ。入院中はスネのあたりがガサガサで、それがかゆいって言って。私も何度もマッサージしたり、クリームを塗ってあげたりしたのよ」

     

    納棺師よ、保湿剤を塗るのだ。アルコールや水は乾燥する際にご遺体を痛める。必要なのは、油分である。

     

     

     

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