2019.06.22 Saturday

Tears in Rein 

0

     

    「変性意識」状態を実現するための、神秘体験とかそれに類する精神状態を誘発する手法について。

     

    「人格の統御作用を一時的に停止させる」という大きな視点から見れば、諸々の宗教やトランスフォーメーション理論における修行や手法の中に、そのまま活用できるものが多く見出せる。

     

    例えば、伝統的にサンテ・ダイミ教団が用いるアヤワスカは確実な効果を持って私たちの精神を境界から離脱させるだろう。これはビートニクムーブメントの中で精神の拡大という方向性を支えたLSDや、或いはネイティブアメリカンが用いるメスカリンであっても同じことで、単純に幻覚剤としての作用による。薬効成分についての十分な知識と準備がなければ脳組織を永久に損傷するリスクがある点も変わらない。

     

    同様に危険を伴う手法としては、オウム真理教がヨーガから取り入れたという止息法や過換気法なども神秘体験を誘発する。意図的な酸欠状態を用いる脳に負担の多い修行法で、統合失調症様の状態から復帰できなくなるクンダリーニ症候群を引き起こすこともあると言われる。

     

    仏教の密教的な修行や、ヨーガの苦行、神道における禊ぎなども、生体にある程度ダメージをもたらすことで通常の神経機能を破綻させ変性意識に導く作用があるという点では、共通しているかもしれない。

     

    このように大抵、変性意識を作り出すということは肉体の健康についての負の作用があるものだが、その中でも比較的安全と思われるものは以下の二つである。

     

    一つは心理療法としての感覚遮断法。五感の知覚を隔絶する専用の個室や、液体式のアイソレーションタンクなどを用いるやり方で、使用者は短時間で物理的な負担なく変性意識へと導かれる。が物理的な負担が無いからと言って、心理的な負担もまた無いのだとは言い切れない。

     

    (例えば準備のできていない人が強制的に自意識を解体されると、躁的な明るさを伴った神経症様の葛藤がパーソナリティの中に突然浮かびあがり、社会関係に不適応が生じはじめることがある。それと同じ事で、私たちがより高い次元の視点を獲得しようとする時には、その視点を支えるに足るだけの十分な知識、人生経験、思想や世界観などを構築しているのでなければ危険である。)

     

    もう一つの方法は、最も手軽でまた最も安全に思えるのだが、瞑想を通して変性意識に到達する方法である。その場合瞑想法はサマタなのかヴィパッサナーなのかというような問題があるが、個人的には、ただ単に変性意識を目的にするのであればどのような瞑想方法も十分用をなし得るものだと考える。

     

    問題になるのはただ、十分な熟達と集中を通して意識を通常とは異なる深い状態へ導くことだけだろう。その先にあるものがサマディーであろうと、精妙な般若の具現化であろうと或いはサイケデリックなトリップ体験であろうと、超実存の理論の中で境界を脱するためのものとしてのみ考えるのであれば、変性意識の「内容」そのものは重視されないからである。

     

     

     

    ※追記

    純粋意識の経験を持つための方法を模索する中で、多少見解が変わってきた。それは誰でも経験可能であるという普遍性や、繰り返しの再現性、経験の自覚(記憶)可能性という点を考慮すれば、瞑想や苦行などの方法は、幻覚剤を慎重に用いる場合に比べれば全く効率が悪いであろうということについてである。(これらの方法は訓練すれば効果があるが、世の中の誰もが、十分な修行のための時間を持っているわけではない。)

     

    とはいえ当然、これらの麻薬物質を私たちが扱うことは法律的に禁忌だから、別の方法を探ることになるが。

     

    海外ではLSDによる精神変容(認知の変容)の治療的側面についての研究があり、もしかしたらパーキンソン病に特別な効果を及ぼすという医療大麻などと同様、次の時代には麻薬から精神薬としてリヴァイバルされるのかもしれない。何にせよそれは私の興味と材料から多少離れる話である。

     

     

     

    JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

    2019.06.22 Saturday

    Tears in Rein 

    0

       

      さてでは神秘体験と境界解体にどのような繋がりがあるかということだが、すでに大分述べたように、境界は中枢神経に由来する知覚信号の統御能力によって形づくられている。

       

      裏を返せば、この統御能力を失うとき私たちの精神は一つの生命個体として意図された正常なラインを逸脱し、半ば生命を離れて、生命から自由になって活動し得るということである。

       

      これは多少大げさな言い方かもしれないが少なくとも、境界というものの意義を考えれば中心化のための統御を脱した意識内容はもはや境界本来の役割を成してはおらず、何か特別な設計外の活動状態にあると考えて良いだろう。

       

      私は便宜的に、こうした境界の形が乱れた意識の状態を「変性意識」と呼ぶことにする。(神秘主義の歴史の中で様々に用いられてきたこの語を、ここでまた新たな定義によって使うことには異議も多くあろう。がしかし、私はそうした多面的な意味合いの全体を含めて、超実存の理論を通して、この変性意識というものにエッセンシャルな骨格を与えられはしないかという意図を持つものである)

       

      重ねて言うようではあるが、私は神秘体験における光とか声とかの知覚内容それ自体に興味は無いし、それが所謂「現実」と呼びうるものの範疇かどうかなどという議論に加わる気も無い。

       

      この見解は今も変わらないが、更に一歩進んで、神秘体験における”変性意識の状態そのもの”は、それを「経験することによって境界の精神閉塞機能を緩和させ得る」ものではないかと考える。

       

      つまり私が考えているのは、何であれ神経系の正常動作を阻害/湾曲させ、知覚内容の統御能力が一時的に破綻した状態を経験していくことによって、その時私たちは徐々に境界外の意識(純粋意識)についての実感を得ていくであろうこと、そしてまたそうした経験は私たちの通常状態の精神の在りようにも影響し、より解放された精神の諸々の特質を発揮できるようにもなるだろう、ということである。

       

       

       

      JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

      2019.06.22 Saturday

      Tears in Rein 

      0

         

        宗教的な神秘体験の必要性について再考している。

         

        これまで私は主に心理的な立場から、各宗教教義や神秘思想における啓示や幻、預言、神秘体験などについて純粋に(意味のある)脳の誤作動という程度の見方をしてきた。

         

        私自身精神修養に併せて神秘体験を経験したことはあるが、それとても長年の心理的抑圧が解体されたショックによる興奮物質の過剰分泌程度のことであろうと考えていた。

         

        キリスト教教義に良く見られるような啓示などは、例えそれが幻であったとしても、恐らくは無意識の高度な倫理的判断を示し、私たちに驚嘆や感動を与えてくれる意味深いものであることは心得ている。

         

        それでも尚私には、神秘体験の知覚内容そのもの、何を見たとか聞いたとかいう内容はあくまで「象徴」としての役割を持つだけであって、重要なのはその根底にある無意識の内容、それさえ分かれば表層にある現象部分は特に見るものはない、と考えられてきたのである。

         

        さてしかし、全く別の事柄を検討するにあたってこのような神秘体験の有用さ如何について思う。

         

        その別の事柄というのは、即ちバウンダリーの解体である。

         

        超実存的に見ると私たち人間の精神構造には、二段階の特徴的な自己中心化プロセスがある。

         

        一つは言語的観念を通して作られる”私”という自意識構造。もう一つは中枢神経に由来する知覚の統御能力を通してもたらされるバウンダリー(境界)。

         

        自意識の解体については、禅やジニャーナヨーガなどの知見を通してすでに相当語り尽くされているところでもあり、ここでは触れない。

         

        今回着目したいのはバウンダリーの、解体、そして精神をそこから解放する技法としての、神秘体験の構造的利用についてである。

         

         

         

        JUGEMテーマ:思想・啓発・哲学

        Calendar
         123456
        78910111213
        14151617181920
        21222324252627
        28293031   
        << July 2019 >>
        【 ランキング参加中 】


        Webサイト
        夜ルコト 心理ワークス https://yorukoto.net
        Selected Entries
        Categories
        Archives
        Mobile
        qrcode